現代の最強王者・井上尚弥は“2024年最後の一戦”で豪州の刺客を迎え撃つ。 今年はすでにルイス・ネリ、TJ・ドヘニーをKOで下したモンスターは12月24日、IBF、WBO1位にランクされる指名挑戦者サム・グッドマン(26歳)と対戦する。ニューサウスウェールズ州出身の26歳はTJ・ドヘニー、ライース・アリームといった強豪を下し、19戦全勝(8KO)と無敗街道を走ってきたスピードスターだ。 【衝撃写真】「もう、無理だ…」井上尚弥のエグいボディで“ドヘニーの心が折れた”決定的瞬間…「井上尚弥を睨みつけるグッドマン」「サウジと30億契約の尚弥さん」なども見る(他100枚超) その名は全国区とはいえないが、5月の井上対ルイス・ネリ戦の試合後、井上から東京ドームのリング上に招かれた選手といえば日本のファンはピンと来るのではないか。その際はモンスターから直々に“9月の対戦相手候補”として指名されながら、9月の指名戦は実現しなかった。そんな流れから一部のファンに「グッドマンは逃げている」と揶揄されたが、挑戦者側にも相応の言い分があるようだ。 来日を間近に控えた12月上旬――。グッドマンに5月のリング登場の真相、そして打倒・井上に向けた想いをたっぷりと語ってもらった。
対戦経験のあるモロニーからの助言も
――人生最大の一戦を目前に控え、今の状態は? サム・グッドマン かなりハードなトレーニングを行っているが、コンディションは良好だ。この試合は“人生最大の一戦”というだけではなく、私が“人生最大の勝利を手にする場”でもある。そのために、クレイジーなほどの負荷を自身にかけている。できる限りのことをやっているよ。 ――現在はどこにいて、来日はいつになるのでしょうか? グッドマン 今はセントラルコーストのウエスト・ゴスフォードでキャンプを張っており、試合9日前の15日に日本に行く。幸いにも日本とオーストラリアは時差がほとんどないから、ハードなトレーニングは母国で行い、仕上げてしまおうと考えた。日本での滞在中は身体をよりフレッシュな状態に保ち、戦える態勢を整えることに集中したい。 ――スパーリングパートナーは? グッドマン 何人かを海外から呼び、オーストラリア国内からも来てもらい、さまざまな選手と練習を積んでいる。パワー、スピードを兼備した井上のような相手に備えるとき、パートナーを1人には限定できない。小柄でスピードのある選手、大きくてパワーのある選手など複数のパートナーを招き、パズルのピースを当てはめるように調整する。一日のスパーは10~12ラウンズに及ぶこともある。(井上と対戦経験のある)ジェイソン・モロニーもキャンプに参加してくれ、助言をもらっている。 ――あなたはアウトボクシングの技術に定評がありますが、今戦では打ち合う必要性も感じますか? グッドマン もちろん状況に応じて打ち合い、井上に「次は何をやってくるんだろう」と考えさなければいけない。ここでファイトプランを明かすわけにはいかないが、見ていてほしい。気にしているのは勝つことだけだ。エキサイティングな試合になれば素晴らしいとは思うが、自身の仕事をやり遂げることに集中している。 ――個人的には以前からあなたは井上戦を熱望していると感じてきました。井上がタイトル返上するか、指名戦をこなしきれずに剥奪されるのを待ち、タイトルを取りにいくべきと考えた人もいるかもしれませんが、最強王者との対戦を望んだ理由は? グッドマン 私も最強王者になりたいからだ。井上がすべてのベルトを持っているわけだから、彼に勝ちたいと思うのは当然のこと。最強のボクサーになりたければ、最強を倒さなければいけない。そのチャレンジこそが魅力的に感じられる。彼がこの階級からいなくなるのを待つなんてやり方に興味はない。 ――近未来の井上挑戦を睨み、5月は陣営とともに来日し、東京ドームでネリ戦を観戦しました。改めて、日本の試合会場の雰囲気はどうでしたか? グッドマン 日本ボクシングの盛り上がりにはほとんどショックを受けた。日本のファンがボクサーに向ける敬意に驚き、同時に私自身もリスペクトを持って受け入れられていることが感じられた。多くのファンが私のことを知っていて、滞在していたホテルで盛んにサインや写真撮影を求められた。その熱気は私の母国よりも上だと思うし、日本のカルチャーを感じられたことは何よりも素晴らしい経験になった。
なぜリングに上がったのか?
――あなたは井上対ネリ戦後のリングに上がり、9月の対戦相手として井上から名指しされました。今、あの件をどう振り返りますか? グッドマン 多くの人があれはシナリオ通りであり、そのために私は会場にいたと感じたようだった。実際にはそうではなく、すべて試合後に自然発生したことだった。実はもう少し後ろのセクションのチケットを渡され、そこに座っていたのだけれど、メインの前にリングサイドの空いている席に潜り込んだ(笑)。井上の戦いをなるべく近くで見ておきたかったからだ。ところが試合後、リングに上がれと井上から手招きされ、ああなった。 ただ、あの時点での私はもう7月にホームタウンで試合を行うことが決まっていた。世界戦前に地元で1戦をこなし(注・7月10日、チャイノイ・ウォラウトに判定勝ち)、こうして大一番への準備を整えたというわけだ。 ――実際にあなたと陣営はメインの前まで、リングから少し離れた私と同じセクションに座っていました。リングに上がったことだけでなく、リングサイドに座ったことすらも予定外だったということですね(笑)。 グッドマン その通りだ。それが試合後、リング上の井上から呼ばれ、リングに上がる流れになった。その日、実は陣営の人間たちと「私たちがリングに上がることになったら面白いな」とジョークを飛ばしていた。実際にそうなったわけだから、あれはあれでクールなことだと思った(笑)。 ――ただ、リング上で“9月の対戦相手候補”として紹介されたにもかかわらず、あなたは7月の試合を強行しました。おかげで一部のファンから「逃げている」「挑戦する気がない」と批判されたことをどう感じますか? グッドマン 特に気にはしていない。推測ばかりだから、記事、インタビューの類にはいつもほとんど目をやらない。実際に何が起こっているのか、知りもしない人たちが意見を言おうとする。それを気にするのではなく、耳を傾けるのは陣営の話だけだ。私は決して逃げないし、同じ階級の誰をも恐れたりはしない。機会が訪れれば、その時にどんな戦いも受けて立つ。実際にこうして井上戦が決まり、準備を整えていることからもそれはわかってもらえるだろう。 ――今、改めて振り返っても7月、世界ランカーのチャイノイと対戦したのは正しい選択だったと感じていますか? グッドマン 9月に(井上と)世界戦をすべきだったという考えもあるのかもしれない。ただ、もう興行は決まっており、地元での戦いも私にとっては重要な機会だった。私の直近の2戦が挙行されるまで、故郷ではそれほど多くの興行が催されてきたわけではなかった。そのリングに立つことに誇りを感じていた。そこで試合をクリアすれば世界戦に辿り着けるわけだから、流すという考えはなかった。 ――あなたにとって最善のタイミングで最強王者に挑めると感じていますか? グッドマン それは間違いない。ハードワークを続け、すべての面で向上し、成長してきた。タイミングよく、これまでで最高の状態でビッグファイトに臨める。自分が新しいレベルに進んだと感じている。あとはリング上で力を出せるように、集中を切らさずに調整を続けていくだけだ。
先を見据える井上陣営「彼らのプランをひっくり返す」
――井上自身は試合に集中していると思いますが、一方で周囲では来春の渡米戦の話が出たり、サウジアラビアとの契約だったり、どちらかといえば将来の方に関心が向いているように感じられることはどう思いますか? グッドマン 先のことを考えて準備するのが、プロモーターをはじめとする周囲の人間の仕事でもある。私の陣営もそれをやってきてくれた。彼らが今後の計画を進めていることは気づいており、正直、無礼だなとも思うが、必要以上に気にしてはいない。今の私にできるのは彼らのプランをひっくり返すように努力することだけだ。 ――最後にもう一度、井上戦に向けた意気込みを聞かせてください。 グッドマン まだ井上に勝った選手は誰もいない。それほどの王者と対戦できるというチャレンジにワクワクしている。「頂上は高すぎる」と誰もが考えていることはわかっているが、それによって私の闘志はかき立てられる。私も世界最高級のボクサーであると示し、オーストラリアにベルトを持ち帰りたい。厳しい試合になることはわかっているが、勝つための戦い方をするつもりだ。 ――5月の来日時には「和牛ステーキを楽しみたい」という話もしていました。今回はクリスマスイブの試合になりますが、終了後は何日か日本に滞在するのでしょうか? グッドマン もちろん試合まではボクシングに完全に集中するが、試合後はオーストラリアから来てくれる人々と一緒に過ごすつもりだ。日本に数日間残り、和牛ステーキ、鉄板焼きを食べるのを楽しみにしている。特に私はステーキの大ファンだから、日本の人たちにおすすめの場所があったらぜひ教えてほしい。寿司も好きだが、和牛は私にとって特別な食べ物なんだ(笑)。
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