厚生労働省が公表した「2023(令和5)年 国民生活基礎調査の概況」によれば、年金のみで生活費を100%まかなえている世帯は全体の「41.7%」にとどまっています。
上記を言い換えれば、年金生活を送る高齢者世帯の「過半数」は、年金だけでは生活が成り立たず、貯蓄や就労などで不足分を補っている状況が明らかです。
40歳代・50歳代は、老後の生活設計を意識し始める年代といえますが、この世代の「平均年収」や「平均貯蓄額」はどのくらいなのでしょうか。
本記事では、就職氷河期世代である40歳代・50歳代のマネー事情について詳しく解説します。
※金額等は執筆時点での情報にもとづいています。
※編集部注:外部配信先ではハイパーリンクや図表などの画像を全部閲覧できない場合があります。その際はLIMO内でご確認ください。です。
40歳代・50歳代は、老後の生活設計を意識し始める年代といえますが、この世代の「平均年収」や「平均貯蓄額」はどのくらいなのでしょうか。
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40歳代・50歳代の「平均年収」はいくら?
国税庁が発表した「令和5年分 民間給与実態調査」によると、給与所得者全体の平均給与は「460万円」となっています。
さらに、男女別および年齢層別の給与所得者の平均給与額は以下のようになっています。
●【40歳代の平均年収】
・全体:40〜44歳 501万円、45〜49歳 521万円
・男性:40〜44歳 612万円、45〜49歳 653万円
・女性:40〜44歳 343万円、45〜49歳 343万円
●【50歳代の平均年収】
・全体:50〜54歳 540万円、55〜59歳 545万円
・男性:50〜54歳 689万円、55〜59歳 712万円
・女性:50〜54歳 343万円、55〜59歳 330万円
男性の場合、40歳代以降の平均給与が全体の平均年収を上回り、50歳代後半でピークを迎え「712万円」に達します。
女性の場合、すべての年代で全体の平均年収には届かず、40歳代・50歳代でも平均給与は300万円台にとどまっています。
この背景には、出産や育児を機に、多くの女性が正社員からパート勤務や専業主婦へと働き方を変える傾向があることが一因としてあるのでしょう。
また、男女合わせた平均給与をみると、40歳代・50歳代は500万円台となり、全体の平均給与である460万円を大きく上回っています。
この年代は、キャリアアップや出世が進みやすい時期であるため、20歳代や30歳代に比べて給与水準が高いと考えられます。
では、40歳代・50歳代の貯蓄状況についてはどのようになっているのでしょうか。キャリアアップや出世が進みやすい時期であるため、20歳代や30歳代に比べて給与水準が高いと考えられます。
では、40歳代・50歳代の貯蓄状況についてはどのようになっているのでしょうか
不遇な世代といわれる「40歳代・50歳代」の貯蓄事情
金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査」を参考に、40歳代・50歳代の平均貯蓄額を、世帯別で確認していきます。
●【単身世帯】40歳代・50歳代の「平均貯蓄額(平均値・中央値)」
金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査](令和5年)」によると、40歳代・50歳代の単身世帯の平均貯蓄額は以下のとおりです。
【単身世帯・40歳代・50歳代の平均貯蓄額】
・40歳代:平均値559万円・中央値47万円
・50歳代:平均値1391万円・中央値80万円
平均値は、「すべてのデータを合計し、その合計をデータ数で割った値」を指すため、貯蓄額が極端に多い人が含まれると、平均値が大きく影響を受ける可能性があります。
一方、中央値は「データを小さい順に並べた際の中央に位置する値」であり、貯蓄の実態を把握するには、平均値よりも中央値を参考にする方が実情に近いと言えるでしょう。
40歳代および50歳代のおひとりさま世帯の平均貯蓄額の中央値は、「47万円」「80万円」であり、この世代の多くが貯蓄100万円未満であることが分かります。
これに対し、前後の年代である30歳代と60歳代のおひとりさま世帯の中央値はそれぞれ「100万円」と「210万円」となっており、40歳代と50歳代の貯蓄額が特に低いことが際立っています。
この背景には、現在の40歳代と50歳代が「就職氷河期世代」に該当し、当時の就職難が貯蓄額に影響を及ぼしているケースが多いと推測されます。
では、40歳代・50歳代の二人以上世帯の貯蓄額はどうなっているのでしょうか。
●【二人以上世帯】40歳代・50歳代の「平均貯蓄額(平均値・中央値)」
金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和5年)」によると、40歳代・50歳代の二人以上世帯の平均貯蓄額は以下のとおりです。
【二人以上世帯・40歳代・50歳代の平均貯蓄額】
・40歳代:平均値889万円・中央値220万円
・50歳代:平均値1147万円・中央値300万円
二人以上の世帯においても、単身世帯と同様に、40歳代・50歳代の貯蓄の中央値は低い水準にあり、老後生活が近づいている50歳代でも、中央値は「300万円」にとどまっています。
さらに、平均値と中央値の差が大きく、単身世帯・二人以上世帯を問わず「十分な貯蓄を持つ世帯」と「ほとんど貯蓄がない世帯」との間で二極化が進んでいることがみてとれます。
貯蓄ゼロが4割も…。40歳代・50歳代の貯蓄割合は?
次に、40歳代・50歳代の貯蓄割合についても確認していきましょう。
金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査(令和5年)」によると、40歳代・50歳代の貯蓄割合は以下のとおりです。
40歳代・50歳代では、「金融資産を保有していない世帯(貯蓄ゼロ世帯)」が全体の2〜4割程度にのぼります。
特に単身世帯においては、「金融資産非保有世帯」と「貯蓄額100万円未満の世帯」を合計すると、40歳代・50歳代のいずれも約半数が貯蓄100万円未満であることが明らかです。
また、世代別に単身世帯の貯蓄ゼロ世帯の割合を比較しても、40歳代と50歳代の貯蓄ゼロ世帯が他の年代に比べて多いことが顕著に見てとれます。
30歳代の貯蓄ゼロの割合は34.0%ですが、40歳代・50歳代では貯蓄ゼロ世帯の割合が増加していることがわかります。
このように、40歳代・50歳代は他の年代と比べても、貯蓄ゼロ世帯の割合が特に高くなっているのが現状です。
老後に備えた資金準備をしておこう
本記事では、就職氷河期世代である40歳代・50歳代のマネー事情について詳しく解説していきました。
40歳代・50歳代の平均年収は500万円台ですが、これは全体平均の値に過ぎず、実際には正規雇用と非正規雇用では年収にかなりの差があります。
この世代は、就職氷河期を経験した「不遇な世代」とも言われ、非正規雇用で働き続けている人も少なくありません。
そのため、年収の差だけでなく、貯蓄状況にも大きな影響が出ており、40歳代・50歳代では、平均と中央値の間に顕著な差が見られます。
特に単身世帯では、貯蓄ゼロの世帯が約4割に達しており、就職氷河期世代が直面した厳しい雇用環境が、現在の貯蓄状況に大きな影響を与えていることがわかります。
年金だけで老後の生活費を賄えるのであれば、貯蓄ゼロでも大きな問題はありません。
しかし、近年話題となった「老後2000万円問題」からも明らかなように、現在では年金だけで老後生活を支えるのは困難です。
老後を安心して迎えるためには、まず現状の資産を見直し、受け取れる年金額を把握することが欠かせません。
また、NISAやiDeCoといった資産運用制度を活用すれば、老後資金の準備がしやすくなるため、あなたに合った老後対策を早めに考え、準備を進めることをおすすめします。
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