サッカー選手のバリューを表す指標のひとつである「市場価値」は、時代によって大きく変動する。今回は、データサイト『transfermarkt』が算出した金額をもとに、日本人選手の歴代最高市場価値ランキングを紹介する。※価格が並んだ場合の順位はサイトに準拠。市場価値は12月1日現在
10位:堂安律
生年月日:1998年6月16日 最高市場価値:1800万ユーロ(約28.8億円) 更新日:2023年6月22日(当時25歳) 10位には、現在の森保ジャパンで背番号10を背負う堂安律がランクインした。 19歳で海を渡ってから市場価値が大きく上がった堂安は、常にその価格が上昇し続けているわけではない。これまで3度のダウンを経験するなど、不遇のPSV時代を筆頭に苦しい時期を過ごしたこともある。 それでも現在所属するフライブルクでは安定して成績を残しており、新天地での1年目を終えた2022/23シーズン終了後に自己最高額の1800万ユーロ(約28.8億円)へと到達した。 昨シーズンの前半戦は得点に絡むことができず、一時は1500万ユーロ(約24億円)にまでダウンしたが、後半戦に巻き返して再び自己最高額タイの1800万ユーロに落ち着いている。 今季はこれまでの2シーズン以上にチームの中心的な存在となっており、第12節終了時点で5得点1アシストと、フライブルク移籍後では最高のペースでゴールに絡んでいる。次の更新で自己最高額を超え、このランキングでさらに上位へとランクアップする可能性も大いにあるだろう。
9位:南野拓実
生年月日:1995年1月16日 最高市場価値:2000万ユーロ(約32億円) 更新日:2024年6月3日(当時29歳) 9位には、29歳でキャリアの全盛期を迎えている南野拓実がランクインした。 19歳で迎えた2015年1月にセレッソ大阪からザルツブルクへと移籍した南野は、その後リバプール、サウサンプトン(半年間ローン)を渡り歩き、2022年夏に現在所属するモナコと契約。これまでの所属クラブだけを見ると順風満帆なキャリアを歩んでいるようにも見えるが、その過程は浮き沈みの激しいものになっている。 特にリバプール最終年の2021/22シーズンとモナコ1年目の2022/23シーズンは、あまり試合に絡むことができず、リーグ・アンでの1年目を終えた2023年夏には、市場価値が600万ユーロ(約9.6億円)までダウン。それまで常連だった日本代表からも選外になるなど、苦しい時期を過ごした。 この苦難を乗り越えた2023/24シーズンに南野は完全復活を遂げる。ザルツブルク時代の恩師であるアドルフ・ヒュッター監督の下で主力に定着すると、9得点6アシストという圧倒的な成績を残してチームのUEFAチャンピオンズリーグ(CL)出場権獲得に大きく貢献。市場価値も一気に自己最高額を更新する2000万ユーロ(約32億円)にまで上昇した。現在も最高額をキープしている。
8位:本田圭佑
生年月日:1986年6月13日 最高市場価値:2000万ユーロ(約32億円) 更新日:2013年1月15日(当時26歳) 8位には、名門ミランで背番号10を背負った本田圭佑がランクインした。 意外に思われるかもしれないが、本田の市場価値がキャリアハイの2000万ユーロ(約32億円)に到達したのはミラン時代ではない。その前に所属していたCSKAモスクワ時代の2013年1月に自己最高額を更新している。 本田はそこから長く2000万ユーロ(約32億円)をキープしていたが、ミランでは自らの市場価値を上げることができなかった。すでに27歳だった年齢も影響しているが、最大の要因は期待されていたほど得点に絡めなかったことで、1年目の2013/14シーズン後半戦は1得点2アシストと寂しい成績に終わった。 これによって市場価値の下落が始まると、ミラン加入から半年後の2014年夏に1200万ユーロ(約19.2億円)までダウン。2014/15シーズンのスポット的な活躍でわずかながらに再上昇することもあったが、大きなアップは見られず。ダウンの一途をたどり、ミラン退団時は250万ユーロ(約4億円)まで下落している。
7位:香川真司
生年月日:1989年3月17日 最高市場価値:2200万ユーロ(約35.2億円) 更新日:2012年6月29日(当時23歳) 7位には、20代前半にドルトムントで圧巻の活躍をみせた香川真司がランクインした。 香川の評価が最も高まったのは2011/12シーズン終了後である。このシーズンにドルトムントはユルゲン・クロップ監督のもとでブンデスリーガとDFBポカールの二冠を達成。その中で香川は公式戦43試合で17得点14アシストの大活躍を披露し、市場価値は自己最高額の2200万ユーロ(約35.2億円)へと到達した。 市場価値のインフレが進む現在にこの成績を残せば、さらに金額は高まっていた可能性が高い。ただ、約10年前の状況を踏まえるとこの額は驚異的だ。当時で見れば日本人史上最高額であり、その直後に世界を代表する強豪マンチェスター・ユナイテッドに移籍をしたことは多くのファンを熱狂させたことだろう。 なお、マンチェスター・ユナイテッドでは2年目にノーゴールに終わるなど、徐々にパフォーマンスレベルを下げたことで市場価値も大きくダウン。2年ぶりにドルトムントへと復帰を果たした際には1500万ユーロ(約24億円)まで下がっていた。
6位:中島翔哉
生年月日:1994年8月23日 最高市場価値:2500万ユーロ(約40億円) 更新日:2019年5月3日(当時24歳) 6位には、かつて日本代表で背番号「10」を背負っていた中島翔哉がランクインした。 中島の市場価値が急上昇したのは、日本人歴代最高額となる3500万ユーロ(約56億円)の移籍金でポルティモネンセからアル・ドゥハイル(カタール)へと移籍した直後の5月である。市場価値は年齢や成績だけでなく、移籍金に影響されるケースもあり、彼の場合はその要素が大きかった。 アル・ドゥハイルでは公式戦14試合で2ゴールとあまり成績を残せなかったが、それでも市場価値は自己最高額の2500万ユーロ(約40億円)へと大幅アップしている。 このような移籍金が影響した市場価値の上昇は一過性のものが多く、2019年夏のFCポルトへの移籍後は徐々にダウン。キャリアハイ更新から半年後の12月には2000万ユーロ(約32億円)まで下がり、翌シーズンが始まるころには最高額の半額以下である1200万ユーロ(約19.2億円)まで大幅に下落していた。 このことからもわかるように、最高額の2500万ユーロを記録していたのは一瞬だった。浦和レッズに所属する現在は、100万ユーロ(約1.6億円)の評価を受けている。
5位:鎌田大地
生年月日:1996年8月5日 最高市場価値:3000万ユーロ(約48億円) 更新日:2022年11月9日(当時26歳) 5位には、今夏にクリスタル・パレスへと移籍した鎌田大地がランクインした。 現在1800万ユーロ(約28.8億円)の市場価値を誇る鎌田が、自己最高額に到達していたのはフランクフルト時代である。2022/23シーズン途中の11月に3000万ユーロ(約48億円)を記録した。 このシーズンの鎌田の活躍は印象的だった。現クリスタル・パレス監督のオリバー・グラスナー監督によるボランチ起用が的中し、3列目からの飛び出しで多くの得点に関与。ブンデスリーガでは9得点7アシストの成績を残し、UEFAチャンピオンズリーグ(CL)では日本人史上初となる3試合連続ゴールを記録した。 これだけの活躍を披露すれば市場価値が上昇するのは当然だろう。CLでのパフォーマンスは特に影響が大きい。後半戦に成績を落としたため、最高額をキープできたのは半年間のみだったが、同シーズンに鎌田がみせたインパクトは相当なものだった。
4位:伊藤洋輝
生年月日:1999年5月12日 最高市場価値:3000万ユーロ(約48億円) 更新日:2024年5月29日(当時25歳) 4位には、今夏に名門バイエルン・ミュンヘンへと移籍を果たした伊藤洋輝がランクインした。 今季はプレシーズン中に中足骨を骨折したため新天地デビューを果たすことができていないが、現在記録している3000万ユーロ(約48億円)が自己最高額である。これはバイエルンを上回って2位でフィニッシュした昨季のシュトゥットガルトでのパフォーマンスが影響しており、左CBと左SBの両ポジションでプレーできる希少性の高さも価値が上昇している理由だろう。 伊藤がシュトゥットガルトに加入した2021年夏時点の市場価値は55万ユーロ(約8800万円)と、無名に近い存在だった。そんな選手が3年間で約55倍の価値となったのは、若手の育成と発掘に長けたシュトゥットガルトの環境ならではだろう。 身体能力の高さとスピードを活かしたカバーと左足から放たれるフィードの質はブンデスリーガでも指折りで、バイエルンが2350万ユーロ(約37.6億円)の移籍金を支払ったことが評価の高さを表している。 残念ながら怪我のために今季は出番を得られていないが、現在の3000万ユーロ(約48億円)を更新するだけの力は持っているはずだ。
3位:冨安健洋
生年月日:1998年11月5日 最高市場価値:3500万ユーロ(約56億円) 更新日:2024年5月27日(当時25歳) 3位には、名門アーセナルでプレーする冨安健洋がランクインした。 現在記録している3500万ユーロ(約56億円)が自己最高額で、これは昨季終了時に更新されたものである。相対的にDFは市場価値が上がりにくいが、その中で日本人の歴代トップ3に入ったのは偉業とも言えるだろう。 冨安は前所属のボローニャ時代に2000万ユーロ(約32億円)の市場価値を記録していた。そこからプレミアリーグで主力へと定着する中で順調に価値を伸ばしている。中でも昨季終盤の活躍は印象的で、周りの選手とのバランスが重要なため難しいタスクとなるアーセナルの左SBをほぼ完璧にこなしていた。 圧巻のパフォーマンスで一気に自己最高額を更新したが、今季は怪我に悩まされ続けており、12月1日時点での公式戦出場はプレミアリーグ第7節サウサンプトン戦の84分からのみ。稼働率の低さを考えると、次の更新で現状の3500万ユーロからはダウンとなる可能性が高いだろう。
2位:三笘薫
生年月日:1997年5月20日 最高市場価値:5000万ユーロ(約80億円) 更新日:2023年10月9日(当時26歳) 2位には、好調のブライトンで主力を担う三笘薫がランクインした。 三笘は川崎フロンターレ時代から異彩を放っていた。ただ、世界的に見ればJリーグでの活躍は市場価値にあまり影響されておらず、ブライトンに移籍した当時の評価額は180ユーロ(約2.9億円)だった。 ロイヤル・ユニオン・サン=ジロワーズへのローン移籍から復帰した当時の市場価値も300万ユーロ(約4.8億円)と高額ではなかったが、そこからの伸び率は凄まじい。 プレミアリーグでインパクトを残すと同時に価値は急上昇し、ブライトンでの1年目を終えた時点で3200万ユーロ(約51.2億円)までアップ。続く2023/24シーズンも活躍を続けたことで、2023年10月に自己最高額となる5000万ユーロ(約80億円)を記録した。 同シーズンは後半戦を怪我で棒に振ったため、現在は4500万ユーロ(約72億円)までダウンしている。しかし今季の活躍を見る限りは、12月の更新で最高額に近い、もしくはそれ以上のアップが期待できる。
1位:久保建英
生年月日:2001年6月4日 最高市場価値:6000万ユーロ(約96億円) 更新日:2023年12月22日(当時22歳) 1位には、日本の“至宝“久保建英がランクインした。その最高市場価値は6000万ユーロ(約96億円)である。 久保の市場価値は一度目のマジョルカ在籍時に3000万ユーロ(約48億円)まで上がっていたが、同クラブへの2度目のローン移籍が失敗に終わったことで、レアル・ソシエダへと移籍する2022年夏の時点では750万ユーロ(約12億円)まで価値が下がっていた。 マジョルカやヘタフェなど、当代屈指のアタッカーはどちらかと言えば守備に追われる時間が長いクラブでは持ち味を発揮しきれなかったが、ポゼッションに重きを置くレアル・ソシエダにフィットすると一気に成績と市場価値が伸びる。 最大の伸び率となったのが2023/24シーズン開幕から10月までの期間で、この間だけで2500万ユーロ(約40億円)アップを記録した。同年12月には自己最高額となる6000万ユーロに到達。シーズン後半戦にあまり数字がついてこなかったため、現在は5000万ユーロ(約80億円)へと価値を下げた。 しかし、今季のここまでの活躍を見る限りは再びキャリアハイの市場価値を更新してもおかしくない。現在の久保は、ピッチに出ればMVP級の活躍を見せている。
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