ビートルマニア(1960年代のビートルズの熱狂的なファン)が、米国ですべての始まりとなった街へ戻ってきた。先日、ニューヨークのペイリー・センター・フォー・メディアで、新作ドキュメンタリー映画『ビートルズ'64』が大スクリーンで上映されたのだ。現地時間12月5日に開催されたこの特別上映会(チケットは完売済み)は、長年のビートルズ・ファンにとって、60年前に4人の若いミュージシャンが英国リバプールからニューヨークに到着し、この街と米国全土を席巻した時の熱狂を追体験する機会となった。 【画像】先行上演に参加したポール・マッカートニーやショーン・レノン、マーティン・スコセッシら マーティン・スコセッシがプロデューサーを務め、デヴィッド・テデスキが監督した『ビートルズ'64』は、11月29日よりディズニー公式動画配信サービス「Disney+ (ディズニープラス)」の「スター」で独占配信されている。このドキュメンタリー映画では、ジョン・F・ケネディ大統領が暗殺されてからわずか数カ月後の1964年2月7日にニューヨークに降り立った「Fab Four(ファブ・フォー、すばらしい4人という意味のビートルズの愛称)」が初めて米国に上陸した様子をたどる。 「僕たちはそう、『アメリカだ!アメリカにいるんだ!』という感じだったよ」と、このドキュメンタリー映画の予告編でも見られるように、リンゴ・スターは振り返る。 伝説的なドキュメンタリー作家であるアルバート&デイヴィッド・メイズルズ兄弟(1971年公開の『ローリング・ストーンズ・イン・ギミー・シェルター』も手掛けた)によって撮影された貴重な映像を修復して使用した『ビートルズ'64』には、ジョン・レノン、ポール・マッカートニー、ジョージ・ハリスン、リンゴ・スターの4人が当時の人気音楽番組「エド・サリヴァン・ショー」の出演を前にプラザホテルに投宿し、米国の環境を楽しむ様子が緻密に描かれている。この歴史的なテレビ放映は7300万人が視聴し、ポップカルチャーを永久に変えることになった。 このドキュメンタリー映画は、ビートルズの2週間にわたる米国滞在の様子(その間にはワシントンDCで行ったコンサートやマイアミで過ごす余暇なども含まれる)を捉えているだけでなく、興奮した女性ファンがビートルズの姿を一目見ようとホテルの外で叫び声を上げる(ホテルの中に侵入しようとしたファンも多かった)場面なども映っている。 また、ビートルズの行動や移動中の狂乱が映し出されているだけでなく、当時の歴史的、文化的、社会的状況も見て取れる。特に、ビートルズを単なる一時的な流行と捉える年配者と、人生を変えるものとして見ていた若い世代の間に存在した溝が印象的だ。 「エド・サリヴァン・ショー」やワシントン・コロシアムにおけるビートルズのすばらしいパフォーマンス映像(ウィングナット・フィルムズがデミックス、ジャイルズ・マーティンがリミックスを手掛けた)に加えて、『ビートルズ'64』には存命メンバーのポール・マッカートニーとリンゴ・スターによる回想と共に、歌手のスモーキー・ロビンソンやロナルド・アイズレー、サナンダ・マイトレイヤ(かつてはテレンス・トレント・ダービーという名前で活動していた)、故ロニー・スペクター(元「ロネッツ」のリードシンガー)、写真家のハリー・ベンソン、音楽プロデューサーのジャック・ダグラス、作家のジョー・クィーナンといった著名人のインタビューも収録されている。
ビートルズが残した「2つの遺産」
この日は上映会に引き続き、iHeartMedia(アイハートメディア)のエグゼクティブ・ポッドキャスト・プロデューサーであるジョーダン・ランターが司会を務めるパネルディスカッションが行われた。この座談会には『ビートルズ'64』の監督を務めたテデスキ、CBSニュース特派員のアンソニー・メイソン、テレビ界の幹部プロデューサーで当初からのビートルズ・ファンとしても有名なデビー・ジェンドラー(スプニックという名前でも知られる)、ビートルズ関連のポッドキャスト『Everything Fab Four』のホストであるケネス・ウォマック、そして作家のジェイミー・バーンスタインが参加した。 このパネルディスカッションでは『ビートルズ'64』の様々な場面について掘り下げていった。例えば、ビートルズがワシントンDCの英国大使館でレセプションに出席した際には、いくぶん無礼な扱いを受けたこと、ニューヨークシティの家族が「エド・サリヴァン・ショー」放送時にテレビで演奏するビートルズを観ている様子が映ること、メイズルス兄弟が撮影した街頭インタビューを通じて一部の人々がビートルズに対する敵意をあらわにしていたことなどについてだ。 また、この座談会の中では、ジェンドラー(1964年2月9日の夜にスタジオで「エド・サリヴァン・ショー」の収録を観覧していた)とバーンスタインから、ビートルズ・ファンの若者として成長したことについて、生き生きとした思い出が語られた。その一方で、メイソンはビートルズが残した2つの遺産について語った。1つは彼らの音楽、そして2つめは彼らのようになりたいと思ったトム・ペティやビリー・ジョエルのような未来のミュージシャンに与えた影響である。 予告編で聞けるように、かつてジョン・レノンは「まるで台風の目の中にいるようだった」と、当時について語っている。「自分たちの周りで起こっていることを客観的に見るのは難しかった」
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