7月に160円を超えていたドル円はピークアウトした状態だ。また、訪日外国人観光客の数はコロナ前の水準を回復したものの、爆買いが終了するなどインバウンド消費には変化も見られる。今回は、底堅くインバウンド需要が見込めるインバウンド銘柄を取り上げる。みんかぶマガジン特集「2025年最強銘柄84」第10回「インバウンド」ーー。
8ヵ月続けて月間訪日外国人の数が記録更新
繁華街などを歩くと、訪日外国人数は完全にコロナ禍前に戻ったと感じる機会が増えました。日本政府観光局の発表では、2024年は9月まで8ヵ月続けて月間の訪日外国人は最高を記録しています。 昨年は中国人観光客の減少が指摘されていたものの、2024年9月は中国からの訪日客数は韓国(656,700人)に次ぐ2位(652,300人)であり、中国からの観光客もほぼ戻りました。訪日外国人の数としては、コロナ禍前の水準を完全に回復したと言えるでしょう。
円安のピークアウトで消費行動が変化する可能性も
為替市場ではドル円が7月に161円まで円安が進みました。インバウンド消費は円安とともに盛り上がった面があります。しかしその後、円高が進み9月には一時140円を割りました。11月は150円台を回復しているものの、一方的に進んだ円安はピークアウトしています。過去に比べると依然として円安水準にあるため、外国人観光客の来日は続くと予想されますが、円安のピークアウトでインバウンド消費に変化が生じる可能性も。特に高額消費の分野は、円高が進むと消費への影響が懸念されます。
為替が大きく影響しないインバウンド銘柄
百貨店などの高額商品を取り扱う業界は、円安ピークアウトによるインバウンド需要後退の影響を受ける可能性があります。以下に為替が大きく影響しないと考えられるインバウンド銘柄を取り上げます。 新幹線銘柄:JR東日本(9020)、JR東海(9022)、JR西日本(9021)、JR九州(9142) 訪日外国人客のほとんどが交通手段として新幹線を利用します。そして円高が進んでも、新幹線の代わりに在来線を利用する、という選択肢は基本的にありません(大阪~名古屋間では近鉄を利用する外国人観光客も増えていますが)。新幹線を保有するJR上場3社は円高が進んでも、インバウンド消費の恩恵を継続的に受けられます。また外国人向けの新幹線パスは割安に設定されており、外国人向けパス値上げによる増収余地も残されています。 パン・パシフィック・インターナショナルHD(7532) 総合ディスカウト店『ドン・キホーテ』の運営企業です。繁華街の『ドン・キホーテ』は訪日外国人が多数訪れています。ブランド品なども販売していますが、訪日外国人に対して日用品も売れています。円高が進んだ場合でも日用品の価格への影響は軽微であり、訪日外国人による『ドン・キホーテ』の混雑は今後も続くと予想されます。 ビックカメラ(3048) ターミナル駅中心に展開する家電量販大手です。訪日外国人客の家電製品の購買意欲は依然旺盛です。円高が進んだ場合、外国人に現在人気の高級カメラの人気が下火となる可能性はありますが、汎用品的な商品は旺盛な需要が続くと考えられます。 ドラッグストア銘柄:ウエルシアHD(3141)、ツルハHD(3391)、マツキヨココカラ&カンパニー(3088) 繁華街のドラッグストアにもコロナ禍前の外国人観光客による混雑が戻りました。繁華街のドラッグストアは、コロナ禍の際に退店が相次ぎましたが、再度出店が行われています。商品単価が安いドラッグストアの商品は、円高の影響は少ないと考えられます。 キャラクター銘柄:サンリオ(8136)、オリエンタルランド(4661)、任天堂(7974) サンリオのハローキティ、オリエンタルランドのディズニー、任天堂のマリオ・ポケモンなど、自社でキャラクタービジネスを展開する企業も円高に対する耐性は強いといえます。特にキャラが推しの対象となると、リピート需要も見込めるため、継続的なインバウンド消費が見込めます。
中国は景気が悪化…すでに「爆買い」は終了
外国人観光客の来日数は増えていますが、リピーターも増加しています。リピーターの場合、初来日時に比べ消費行動が変わる可能性が高いです。また、特に中国の景気悪化もあり、爆買いと呼ばれたボーナスステージは終了したと考えられます。 インバウンド消費を考える際は、訪日外国人客数に加え、ドル円相場の行方とリピーターの割合にも注意が必要となるのではないでしょうか。
Advertisement
Advertisement



Advertisement
Advertisement






Advertisement
Advertisement











Advertisement




















Advertisement